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【初心者向け】パレート分析とは? | パレート図での分析方法を徹底解説!

製品の不良品データを収集したはいいけど、どう整理したらいいかわからない… 不良品のどの要因から改善していけばいいかわからない… というお困りはありませんか? 今回のテーマは、QC7つ道具の1つである「パレート図」とそのパレート図を使った「パレート分析」についてです。 パレート分析とは?という疑問やパレート図での分析方法を徹底に解説します!
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1. パレート分析とは?
 1-1. パレート分析とその特徴
 1-2. パレート図について
  #1. パレート図の概要
  #2. パレート図の特徴
  #3. パレート図の4つの使用目的
  #4. Excel(エクセル)でのパレート図の作り方
 1-3: パレートの法則との関連性

2. パレート分析でわかること・得意なこと
 2-1. ① 問題の見える化
 2-2. ② 改善対策の効果が明確
 2-3. ③ 幅広い分野で使える

3. パレート分析のやり方・コツ
 3-1. ABC分析を活用して分析しよう!
 3-2. パレート分析の注意点
  # 1つのパレート図だけ判断するのはNG
  # 適切な分析項目・分析期間を設定しよう

4. まとめ

1. パレート分析とは?

パレート分析とその特徴

パレート分析とその特徴。パレート分析:パレート図を使った分析。問題の大小が一目でわかる。(全体に対して)その影響が占めている割合がわかる。

パレート分析とは、パレート図を用いた分析のことです。
パレート分析では、問題の大小が一目でわかるようになるので、どの問題から対策するか優先順位をつけるのに役立ちます費用対効果の高い改善対策から重点的に実施することで、効果的な課題解決ができるようになります。

まずは、パレート図についてその特徴や使用目的などを詳しく解説します。

パレート図について

1. パレート図の概要

パレート図

パレート図とは、上図のように不良品の発生件数などの項目をグラフを用いて明確化です。
数値を大きい方から並べた「棒グラフ」と、累積比率を示す「線グラフ」を組み合わせた複合グラフです。

2. パレート図の特徴

上図からもわかるようにパレート図には大きな特徴が2つあります。

① 問題の大小が一目でわかる
② (全体に対して) その問題が占めている割合がわかる

3. パレート図の4つの使用目的

このような特徴があるので、パレート図は次のような目的のために使用されています。

重点的に取り組む課題を特定する
(全体に対して) その問題の影響が ”どの程度” か把握する
改善前と改善後の効果を確認する
報告または記録に使用する

4. Excel(エクセル)でのパレート図の作り方

過去の記事で詳しく解説していますので、下記リンクから参照してください。

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パレートの法則との関連性

ここで、パレート図の土台となっている「パレートの法則」について確認しておきましょう。

パレートの法則とは

「80:20の法則」ともいわれ、上位20%で全体の80%を占めるという経験則です。

仕事における問題の80%が全体の20%のトラブル原因によって発生していることはよくある話です。
つまり、トラブル原因の20%を解決することで問題の80%を解決できるということになります。
改善活動では、限られた時間を最大限に活用するために、影響が大きいものから重点的に解決することが重要です。

ちなみに、パレートの法則に当てはまるものは次のようなものがあります。

  • 売上の80%が全体の20%の商品によって生み出される
  • 売上の80%が全体の20%の顧客によって生み出される
  • 仕事の成果の80%が全体の業務時間のうち20%の時間で生み出されている
  • 故障の80%が部品の20%に起因する

2. パレート分析でわかること・得意なこと

① 問題の見える化

パレート図。問題の見える化。

パレート分析で問題を「見える化」することで、問題の全体像を把握しどの問題から対策するか優先順位づけができます。
チームメンバーと話すときに言葉だけでは伝わらないことはよくあることですが、パレート図を用いてイメージを共有することで円滑に議論を進めることができます。さらに、分析結果は報告書や記録にも役立ちます。

② 改善対策の効果が明確

パレート図。対策前。
パレート図。対策後。

改善対策を実施した後に、改善前と後のグラフを並べて比較することで、その効果を容易に確認できます。
改善が見られた場合は、さらなる対策を実施したり、他の不良項目の対策を対処したり、効果がなかった場合は再検討したりと、分析結果をもとに判断することができます。

③ 幅広い分野で使える

パレート分析は「品質管理」だけでなく、「経営課題」にも活用できます。
経営課題に対して優先的に対処すべき項目を絞り込む時に使うことができます。

パレート分析が経営課題に対して有用な理由

経営課題でよく使われる手法であるパレートの法則(80:20の法則)やABC分析とパレート分析の親和性が高いためです。
ABC分析はパレートの法則を元にした手法で、詳しくは後述します。

家電専門店での活用事例

家電専門店では、幅広い商品が取り扱われています。
多くの商品を取り揃えた大型店舗を出店することで、多くの顧客が訪れてくれるかもしません。
しかし、営業利益を最大化するためには出店地域や商圏範囲、店舗規模に応じて、ターゲットを絞り込まなければいけません。
商品ラインナップや顧客分析には、パレート分析が有用です。

パレート分析で、売上や利益に貢献している商品の把握と顧客の格付けを行い、その分析結果に基づいて以下のような対策が実施することができます。

3. パレート分析のやり方・コツ

パレート図ができたからといって満足してはいけません。
パレート分析で改善の方針を決め、実際に深堀調査、真因分析、対策を実施していくことが重要です。
ここでは、ABC分析を活用した分析方法とパレード分析の注意点を紹介します。

ABC分析を活用して分析しよう!

ABC分析とは、パレートの法則から生み出された分析手法です。
累積比率の折れ線グラフを見て割合が70%以下をA(重要管理品目)71%~90%をB(中程度管理品目)91%~100%をC(一般管理品目)という3グループに分けて分析します。

上記の製品検査の不良品の例では、「バリ」「キズ」を合わせると約80%となることから、これら2つの対策の優先順位が高いと読み取れます。上位の項目の改善対策に重点して取り組むことで、効果的な課題解決が可能です。

パレート分析の注意点

1つのパレート図だけ判断するのはNG

パレート図。縦軸が不良件数。
パレート図。縦軸が不良損失金額。

他のデータと合わせて分析することが重要です。
上図のように縦軸を損失金額とした場合、バリ以外の項目が上位になる可能性があるからです。
少なくとも「件数」と「金額」のデータを含めて分析する必要があります。

適切な分析項目・分析期間を設定しよう

  • 分析項目を過度に細分化し過ぎると全体に対する影響の大きさが把握しにくくなり、適切な分析結果が得られないことに繋がります。
  • 対象期間が長すぎると期間中に前提条件が変化していたりして、正確な結果につながります。

4. まとめ

  • パレート図を活用したパレート分析によって、問題の大小が一目でわかるようになり、費用対効果の高い対策から実施することが可能になります。
  • パレート分析により、①問題の見える化ができ、②改善対策後も効果を明確にすることができます。さらに、「品質管理」だけでなく「経営課題」に対しても有用で、③幅広い範囲で使用可能です。
  • パレート分析に、ABC分析を活用したり、複数のデータで多角的な視点で分析結果を判断することが重要です。また、適切な分析項目・分析期間を設定することで正しい分析を行うことできます。