今回のテーマは、QC7つ道具の1つである「パレート図」についてです。
パレート図の概要とExcel(エクセル)でのパレート図の作り方を図解を用いて詳しく解説します。
- 目次
1. パレート図とは？
1-1. パレート図の概要
1-2. パレート図の特徴
1-3: 4つの使用目的
2. Excel(エクセル)でのパレート図の作り方
2-0. 環境
2-1. STEP 1. データの加工
#1. データ並び順の変更
#2. データ数の合計
#3. 「累積比率」列の作成
2-2. STEP 2. 基本パレート図の作成
2-3. STEP 3. パレート図に仕上げ
#1. 累積比率の値を％に変更
#2. 軸の最小値 / 最大値を変更
#3. 棒グラフの幅を調整
#4. 折れ線グラフの開始位置を調整
#5. 折れ線グラフと棒グラフの位置調整
#6. おまけ（グラフの見栄えを整える）
1. パレート図とは？
パレート図の概要
パレート図とは、上図のように不良品の発生件数などの項目をグラフを用いて明確化したもので、数値を大きい方から並べた「棒グラフ」と、累積比率を示す「線グラフ」を組み合わせた複合グラフです。
「問題の見える化」のために使用されるグラフで全体の中で大きな要因を占めているものがなにかを把握したい場合に役立ちます。
そして、大きな要因に絞って重点的に改善案を実施することで、効果的な課題解決ができるようになります。
パレート図の特徴
上図からもわかるようにパレート図には大きな特徴が2つあります。
① 問題の大小が一目でわかる
② (全体に対して) その問題が占めている割合がわかる
4つの使用目的
このような特徴があるので、パレート図は次のような目的のために使用されています
① 重点的に取り組む課題を特定する
②(全体に対して) その問題の影響が ”どの程度” か把握する
③ 改善前と改善後の効果を確認する
④ 報告または記録に使用する
2. Excel(エクセル)でのパレート図の作り方
エクセルでパレート図を作る手順は、次の3ステップです。
STEP 1. データの加工
STEP 2. 基本パレート図の作成
STEP 3. パレート図に仕上げ
それでは、それぞれの手順を解説していきます。
環境
Microsoft® Excel® for Microsoft 365 MSO (バージョン 2401 ビルド 16.0.17231.20194) 32 ビット
STEP 1. データの加工
まず初めに、収集・項目ごとに分類したデータを準備します。
準備したデータをエクセルで表にして、その表を加工していきます。
今回はサンプルとして、とある製品の不良品データを使用しています。
1. データ並び順の変更
大きい棒グラフから表示させるためにデータの順番を降順（大→小）に、「その他」は最後に並び替えます。
2. データ数の合計
SUM関数を使用して、データ数の合計を追加します。
3. 「累積比率」列の作成
「累積比率」列を作成します。下の計算式を参考に作成してください。
一番最初の行とそれ以外で計算式が異なる点にご注意ください。
“2”列のエクセルの計算式： =C2/$C$8
“3”列のエクセルの計算式： =D2+C3/$C$8
計算式入力後、計算式を下方向にドラッグしてコピーします。
これで、データの作成は完了です！
STEP 2. 基本パレート図の作成
STEP. 1で作成したデータをもとに基本のパレート図を作成します。
データを選択した後、①挿入 -> ②複合グラフ -> ③集合縦棒 – 第2軸の折れ線グラフを選択します。
※ ヒストグラム内にパレート図がありますが、細かい調整ができないため今回は集合縦棒グラフを使用しています。
これで、基本パレート図の作成も完了です！
STEP 3. パレート図に仕上げ
ここまででおおまかな図ができましたが、パレート図に仕上げるには後ひと手間必要です。
少し手順は多いですがあと一息なので、頑張ってグラフを調整していきましょう !!
1. 累積比率の値を％に変更
累積比率のセルを選択して、右クリック -> セルの書式設定 -> 表示形式 -> パーセンテージを選択してOK
2. 軸の最小値 / 最大値を変更
グラフ上で第1軸を選択して、軸の書式設定 -> 軸のオプション -> 最小値 / 最大値を入力
最小値は「0」、最大値は「データ数の合計」を入力してください。今回のデータでは「319」です。
同じ要領で第2軸も変更。最小値は「0」、最大値は「100」を入力します。
3. 棒グラフの幅を調整
棒グラフをクリックして、データ系列の書式設定 -> 系列のオプション -> 要素の間隔を「0%」にします。
4. 折れ線グラフの開始位置を調整
折れ線グラフ（累積比率）が0からスタートするように設定します。
データの一番上に1行追加して、累積比率のセルに「0」を入力します。さらに、追加した行をグラフの範囲に含めます。
5. 折れ線グラフと棒グラフの位置調整
折れ線グラフと棒グラフの位置を調整して、現状の位置ズレを修正します。
# 5-1-1. 折れ線の位置調整
折れ線グラフの位置が「目盛の間」になっているので、これを修正します。
グラフ要素(＋ボタン) -> 軸 -> 第2横軸を追加
グラフ上の第2横軸をクリック -> 軸の書式設定 -> 軸のオプション -> 軸位置を「目盛」に変更
# 5-1-2. 第2横軸ラベルを非表示
第2軸横軸ラベルの表示が邪魔なので非表示にします。
軸の書式設定 -> 軸のオプション -> ラベル -> ラベル位置を「なし」に変更
# 5-2. 棒グラフの位置調整
棒グラフに不要データが1つ含まれているのでこれを削除します。
グラフ上の棒グラフをクリック -> 表セルをドラッグして下げる。
これでパレート図が完成です。後はお好みで調整してください。
6. おまけ（グラフの見栄えを整える）
今回は次の調整を行い、下図のように見栄えを整えました。
- 折れ線グラフの書式変更（線、マーカー）
- 棒グラフの書式変更（塗りつぶし、線）
- グラフタイトル位置を下に移動
- 縦軸ラベル追加
「不良件数」「累積比率」のラベルを追加 - データの値を追加
データラベルの書式 -> ラベルオプション -> 「値」追加 - 第2軸(累積比率)の補助線を20%に変更
軸の書式設定 -> 軸のオプション -> 単位 主を「0.2」に変更 - 縦軸の目盛を追加
軸の書式設定 -> 軸のオプション -> 目盛 -> 目盛の種類を「内向き」に変更 - 横軸の目盛を削除
目盛線の書式設定 -> 目盛線のオプション -> 「線なし」に変更
